土地活用Q&A

土地活用のQ&A

 土地活用を始める場合に、疑問点となる事柄をピックアップし、わかりやすく解説いたしました。

 具体的な質問にお答えしておりますので、実際の土地活用にぜひお役立てください。  

チェック項目

土地活用を始めるにあたり、チェックしたいポイントの実例集です。

自分の田畑を宅地にして、家を建てようと思うのですが大丈夫でしょうか?

市街化区域に入っているかどうか確認しましょう。

 

 「都市計画法」や「農地法」といった法律名を聞いたことはあるでしょうか?
 これらは、「土地」の用途などを決める法律です。たとえば、農地法で定められた土地は、田んぼや畑のように耕すための土地(農地)となります。農地には、住宅を建てることができません。農地を宅地として使いたい場合は、都道府県知事または農林水産大臣の許可が必要になります(この手続きには、とても時間がかかります)。しかし、たとえ農地であっても「市街化区域」内に入っている土地であれば、農業委員会へ届け出を出すだけで手続きを済ませられます。
 住宅は、原則的に「都市計画法」という法律で定められた、「市街化区域」内の土地でなければ建てることができません。
 「都市計画法」とは、建物が無秩序に建てられることのないように土地の用途などを規制し、計画的に街づくりを進めていくための法律です。そして「市街化区域」とは、現在すでに市街化が進んでいる区域、または、今後10年以内に市街化が予定されている区域のことです。
 「都市計画法」で定められた土地のうち、市街化区域にあてはまらない土地で、「市街化調整区域」があり、住宅などの建物は建てられないことになっています。また、この法律が制定される以前に市街化調整区域に建てられた建物については、建て直すことは可能です。

土地が狭いので、建物は土地の大きさ目一杯に建てたいのですが、大丈夫でしょうか?

土地の用途地域によって建てられる大きさは異なります。

土地からはみ出さなければ、どんな大きな建物を建ててもいいというものではありません。建築可能な建物の大きさを定める数字が「建ぺい率」と「容積率」です。

【建ぺい率】
 建ぺい率とは、「建築物の敷地面積のうち、建築物の建っている部分の面積の占める割合」のことで、簡単に言えば、土地の面積のうち、建物の面積がどれくらい占めているかということです。建物の面積とは、建物の真上から見て、柱、かべに囲まれた部分を言い、屋根の大きさによっても、建ぺい率が高くなる場合もあります。
 土地の用途によって、建てられる建物の建ぺい率は定められており、たとえば、第1種住居地域の場合、原則的に建ぺい率は10分の6以下でなければなりません。

【容積率】
 容積率とは、「建物の建っている敷地面積に対する、建築物の延床面積の占める割合」のことです。延床面積とは建物の床面積の合計で、2階建ての住宅の場合には、1階と2階の床面積を合計します。土地面積のうち、どれくらい延床面積が占めているか表すのが、容積率なのです。
 容積率も、建ぺい率と同様、土地の用途別に数値が制限されています。たとえば、第1種住居地域の場合、10分の20(2倍)、10分の30(3倍)、10分の40(4倍)のうち、都市計画で定められた数値が適用されます。

小さくてもいいからビルを持ちたい。○○坪しかないのですが、10階建てのビルを建てることは可能ですか?

建物の造りと日影などを考慮し、建物の高さは決定されます。

 

 建物の高さは、無限に高くしてもいいというわけではありません。街の景観を損ねないようにしたり、日影をおよぼさないようにするため、さまざまな要素で、建物の高さは制限されています。
 たとえば、建物の造りの違いで、高さは細かく制限されます。柱や梁が木造・石造・レンガ・無筋コンクリートでできている場合、高さ13メートル以下、軒高9メートル以下の建物が建てられます。
 土地の用途による規制では、「低層住居専用地域」の規制が代表的な例です。この用途に指定された土地では、10メートル(または12メートル)以下で建てなければなりません。
 このほか、日当たりや風通しをよくするため、建物の高さと土地の境界線までの距離のバランスを定めた数値など、さまざまな規制があります。日当たりに関しては、さらに充分に確保するため、「日影制限」によって、建物の高さと日影時間が定められています。

建物を建てようと思っている土地が、まったく道路に面していないのですが・・・

4メートル以上の道路に接していないと建築することは不可能です。

 

 建物を建てる土地は、救急車などの緊急車両が入り込めるようにしたり、災害時などの非難経路を確保したりするために、道路に面していなければなりません。(私道は除く。)道路の規模も決められており、幅4メートル以上の道路に、土地が2メートル以上接していないと建物を建てることは不可能です。  

 もし、現在すでに建っている建物が幅4メートル以上の道路に接していない場合、今度建て替えるときは、幅が4メートルになるように後ろに下がって建てなければならないのです。

不動産(土地・建物)の所有者はどのように確認するのですか?

不動産(土地・建物)の各種情報は「不動産登記簿」に記載されています。

 

 まずは「不動産登記簿」を確認して下さい。不動産登記簿を見ると土地の所有者や地積、地目、また抵当権などの権利設定が確認できます。不動産登記簿は、登記所で閲覧することができます。
 登記所とは法務局(地方法務局、法務局支局、出張所)のことです。申請書に必要事項を記入し、1筆当たり500円の登記印紙を貼って提出します。
 不動産の売買または土地有効活用に際しては必ず不動産登記簿で確認しましょう。

売ろうとした土地に「抵当権」がついていることが分かりました。売っても大丈夫でしょうか?

「抵当権」が付いていても土地の売却は可能です。

 

 「抵当権」とは、お金を貸した人が、その担保として、借りた人の不動産を押えておける権利のことです。
 では、抵当権のついた土地は誰の所有物なのでしょう。たとえば、田中さんが鈴木さんに借金をする際に、田中さんの土地を担保に入れたとします。その場合、土地の所有者は田中さんのままで、田中さんの意志で自由に売ることができます。
 ただし、鈴木さんの抵当権はまだ生きています。田中さんが佐藤さんに土地を売却した場合、その土地には鈴木さんの抵当権がついたまま売却されたことになります。もし、田中さんが鈴木さんへの借金の返済ができなくなったとき、たとえその土地がすでに佐藤さんの所有物になっていようと、鈴木さんは借金の肩がわりにその土地を自分のものにすることができるのです。
 抵当権がついているかどうかは、不動産登記簿で確認しましょう。

税金

 土地の税金について解説しています。

不動産(土地・建物)を所有していると、税金がかかるのですか?

不動産(土地・建物)を所有していると、固定資産税と都市計画税が課せられます。

 

【固定資産税】
 不動産を所有していることに対して毎年課せられる税金です。

【都市計画税】
 都市計画区域内に不動産を所有していることに対して毎年課せられる税金です。固定資産税とは重複して課せられます。

土地や建物を取得する際に課せられる税金は何ですか?

印紙税、消費税(建物のみ)、不動産取得税、登録免許税が課せられます。

 

【印紙税】
 売買契約や借地契約を交わすときに印紙税が課せられます。契約代金に応じて印紙税額は異なり、契約書に収入印紙を貼付して支払います。

【消費税】
 土地には原則として消費税はかかりませんが、建物部分には消費税がかかります。なお、不動産業者への仲介手数料にも消費税がかかります。

【不動産取得税】
 不動産を取得したとき、新築の建物を建築したときに課せられる地方税です。

【登録免許税】
 所有権保存登記や所有権移転登記などをするときに課せられる税金です。

土地や建物を贈与した際に課せられる税金は何ですか?

贈与税、相続税が課せられます。

 

【贈与税】
 不動産贈与を受けたり、不動産購入資金の贈与を受けたときに課せられます。

【相続税】
 不動産を相続したときに課せられます。

土地活用に伴う税金の優遇制度とはどんなものでしょうか?

土地活用によって、さまざまな優遇制度を受けることができます。

たとえば、賃貸住宅経営を行った場合の優遇制度には以下のものがあります。

(1)不動産取得税
 住宅1戸につき1200万円が課税標準の価額から控除されます。但し、1戸当たりの床面積が40m2以上240m2以下であることが条件です。

(2)固定資産税
土地:1戸当たりの敷地面積が200m2以下の場合、小規模住宅用地として課税標準は更地の6分の1になります。
建物:中高層耐火住宅であれば、当初5年間、住宅1戸当たり120m2までの部分まで課税は通常の2分の1になります。

(3)都市計画税
土地:小規模住宅用地として課税標準は3分の1になります。

(4)所得税・事業税・住民税
 減価償却費、金利相当分、管理費用等は必要経費として収入から控除することができます。

(5)相続税
 賃貸住宅を相続した場合、土地は貸家建て付け地として評価され、建物から借家権割合が控除され、相続税の課税価額が低くなります。さらに、相続時に債務が残っていれば相続財産価額から控除されます。

住宅ローン

各種住宅ローンの概要をご覧になれます。

公的機関と民間の金融機関の融資では、どちらを選んだらいいでしょうか?

自分の状況をじっくり考えて選択しましょう。

 どちらがいいとは一概に言えません。それぞれに特徴があるので、自分の状況に有利なほうを選びましょう。


 まず公的機関からの融資は、民間の金融機関に比べて、金利が安く長期の返済計画を立てることができます。ただし、融資を受けられる条件が民間のものより厳しくなっており、融資の対象も住宅だけに限られています。
 民間の金融機関からの融資の場合は、すべての物件が対象になります。実にさまざまな種類があり、それぞれ条件が異なっていますが、大まかに次のようなことがいえます。
◇原則的に、20歳以上70歳未満で、返済が完了するときに75歳以下であること。
◇安定した収入があること。金融機関の指定する保証会社の保証を受けられること。
◇返済期間が1年以上35年未満であること。

いちばん金利の安い公的融資は何でしょうか?

住宅に限れば、「住宅金融公庫」がもっとも低金利です。

 

 金利面でいちばん有利なのは、「住宅金融公庫」です。対象は住宅に限られていますが、新築・中古住宅の購入、増改築などさまざまな用途に幅広く対応しており、もっとも代表的な融資制度です。融資額は、対象となる住宅の種類によって異なります。
 土地に関しては、住宅を建てることを前提として購入するのであれば融資の対象になりますが、それ以外の目的では対象になりません。
 また、住宅金融公庫の融資を受けるには、以下の条件をクリアする必要があります。
原則的に70歳未満であること。
連帯保証人がいること(信用保証協会による保証でもOK)。
毎月、所定の収入があること。

財形貯蓄をしていると受けることが可能になる融資というのはありますか?

「財形住宅融資」を受けることができます。

もっともポピュラーなものは「住宅金融公庫」(前項参照)です。それ以外では、以下のような制度があります。

【財形住宅融資】
財形貯蓄をしている人が新築・中古住宅を購入する場合、または増改築する場合に必要な資金を融資します。融資額は4000万円を上限に、財形貯蓄の残高によって異なります。金利は、「5年固定金利制」を採用しているので、返済6年目から金利の変動に応じて、返済金額のうちの金利負担額が変わってきます。
 融資の受け方には二種類あり、勤務先を通じて融資を受ける「財形転貸融資」と、住宅金融公庫を通じて融資を受ける「財形直接融資」があります。
 財形住宅融資を受けるには、以下の条件をクリアしていなければなりません。
申し込み時に70歳未満であること。
財形住宅貯蓄を1年以上継続していること。財形貯蓄の種類は、「一般財形」でも「年金財形」でもかまいません。
貯蓄残高が50万円以上で、毎月、返済額の4倍以上の収入があること。

「住宅金融公庫」と「財形住宅融資」以外に、代表的な公的融資にはどんなものがあるのでしょうか?

年金団体と地方自治体による融資があります。

「住宅金融公庫」と「財形住宅融資」の代表的な公的融資には、「年金福祉事業団(年金融資)」と「地方自治体融資」があります。

【年金福祉事業団】
 厚生年金保険や国民年金保険に3年以上加入している人が受けられる融資制度です。融資の限度額は、厚生年金保険加入者の場合は2490万円、国民年金保険加入者の場合は990万円です。
 住宅金融公庫など、他の公的融資と併せて利用することができます。その場合、年金融資の額は、他の公的融資との融資合計額が購入物件の80%以下になるように設定されます。

【地方自治体融資】
 その地域に住む人に対する融資です。融資の条件などは自治体によって異なっており、たとえば融資の限度額であれば、4000万円の自治体もあれば、数百万円の自治体もあります。また、自治体によっては融資を行っていないこともあります。

民間の金融(融資)にはどんなものがあるのでしょうか?

大別すると「提携ローン」「非提携ローン」「紹介ローン」という3タイプの融資があります。

都市銀行を始め、さまざまな機関が融資を行っています。それらを大別すると、「提携ローン」「非提携ローン」「紹介ローン」の3つに分けることができます。

【提携ローン】
 不動産業者などがあらかじめ民間の金融機関と提携しており、販売する物件に融資枠が設定されているローンです。つまり、物件の購入者は不動産業者と提携している金融機関から資金を借りることができ、その際、不動産業者が連帯保証人になってくれるというわけです。ただし、不動産業者に連帯保証をしてもらうかわりに、物件を抵当権に入れるなどしておかなければなりません。

【非提携ローン】
 提携ローン以外の、不動産業者を通さないで個人が金融機関と契約するローンのことです。この場合、業者には手数料を支払う必要はありません。

【紹介ローン】
 不動産業者が紹介してくれる融資制度ですが、提携ローンと異なる点は、「ただの紹介にすぎない」点です。そのため、資格審査の対象は不動産業者ではなく、物件を購入する人自身になります。

価格

土地の価格決定のプロセスを説明しています。

土地の値段は、誰が、どのように決めているのですか?

土地の価格は地積や立地条件、その土地の周辺環境などにより決められます。

土地の価格は次の4つが一般的に認められており、それぞれ価格の決定者が異なります。

【実勢価格】
 土地が売買される際の相場額で、一般的に時価といわれています。正確な実勢価格を知るためには不動産鑑定士に鑑定してもらうのがよいでしょう。なお、この価格の決定者は主に売主・不動産業者です。

【公示価格】
 国土庁が発表する土地評価の基準となる価格です。国土庁の「土地鑑定委員会」が全国の都市計画区域内の標準地を対象に毎年1月1日時点の単位面積当たり の価格を評価し、その年の4月1日の官報で発表します。なお、公示価格はその土地の上に建物がない場合の価格であり、建物がある場合は土地の価格は下がり ます。

【路線価】
 国税庁が毎年1月1日を評価時点として、公示価格及び実勢価格等を参考の上、全国全ての私有地を評価します(公示価格の8割程度が目安です)。この価格は相続税、贈与税、地価税の評価に適用される価格であり、相続税評価額とも呼ばれています。

【固定資産税評価額】
 各市町村が固定資産税の評価に適用する価格です。売買実例価格から求める正常売買価額を基として適正に実勢価格を求め、これを基に評価額を算定します(公示価格の7割程度が目安です)

土地の価格決定(実勢価格)を左右する要因は何ですか?

数多くの要因によって価格は変動します。

 

 土地の形状(建物が建てやすいか)、地盤、接面道路(幅員)、インフラ整備、生活環境、交通の便、危険施設の有無等により、実勢価格が左右されます。